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★源ベッド快進撃 製造から直販、そしてグローバルへ チヨダコーポレーション・山中社長が仕掛けるスピード経営

挑戦と行動で眠りを変え、世界を変える」ミッションを掲げるチヨダコーポレーションの山中社長
ポップアップショップで社長自ら源ベッドの寝心地を解説する

  「サステナブルな暮らし」や「心地よい住まい」をテーマに、朝日新聞社が主催した展示会「GOOD LIFEフェア」。昨年9月に開催された同フェアの会場で、国産ベッド・マットレスの製造を手掛けるチヨダコーポレーション(広島県北広島町)が期間中に30台以上のベッド・マットレスを売り上げた。国産ポケットコイルマットレスと国産ヒノキを使ったベッドフレームなどの製品で知られる同社は、自社ブランド「源ベッド」のEC販売と体験型ポップアップを武器に、現在は直販比率が50%に到達。コロナ禍を契機に6期連続の増収を記録している。4代目社長の山中雅俊氏(49)は、次なる成長戦略として自社主導による台湾市場への本格進出を掲げ、さらなる挑戦へ打って出る構えだ。

「寝てみないとわからない」に寄り添う、ECとリアルの融合
 チヨダコーポレーションはかつて、卸売が10割を占めていた。自社ブランド「源ベッド」のEC販売と体験型ポップアップを武器に、現在は直販比率が50%に到達。コロナ禍を契機に6期連続の増収を記録している。
 「GOOD LIFEフェア」で成功した最大の勝因は、事前のネット集客に加え、顧客の「マットレスは実際に寝てみないとわからない」「購入前に失敗したくない」という心理に徹底的に寄り添ったことにある。
 会場では単に製品を並べるのではなく「ベッド専門メーカーが提案するあなただけの心地よい眠り」というストーリーを仕立てた。SNSなどの事前ネット集客でブランドを知り、比較検討を重ねていた「源ベッド指名」の顧客が多数来場。ネットで高まった購買意欲に対し、リアルな場で「寝心地の体験」と「対面での安心感」を提供したことで、30台以上という爆発的な販売へとつながった。
 昨年12月に渋谷で開催したポップアップでも、山中社長自らが顧客一人ひとりの寝姿勢を見る「眠り診断」を実施したところ、1週間の予約枠の8割以上が埋まり、当日は最大3時間待ちの行列ができた。
 オンラインで認知を広げ、オフラインで納得感を高めて選んでもらう。この絶妙なハイブリッド戦略こそが、同社の強みだ。

大手が真似できない圧倒的な「商品回転の速さ」
 同社が増収増益を続けているもう一つの強みが、中小企業ならではの「スピード感」。「良いアイデアを思いついたらすぐに形にし、売れなければすぐにやめる」という実戦重視のアプローチをとっている。
 例えば、国際的な見本市であるミラノ国際家具見本市(ミラノサローネ)で得たインスピレーションを、その年の秋にはもう商品化して販売スタートさせるほどの極めて短い時間軸で動いている。
 海外のトレンドや顧客の要望を察知すれば即座に試作・開発を行い、売れ行きが悪ければ即座に撤退する。この圧倒的な商品回転の速さは、意思決定に時間のかかる大手メーカーには決して真似できない武器となっている。

音楽と旅の経験から生まれた「らしさ」の追求
 山中社長は若い頃、音楽(ロック)で世界を目指す夢を追いかけ、好奇心の赴くままにバックパッカーとして世界を旅した経歴を持つ。最初に1人で訪れたスコットランドでは、言葉も通じず道も聞けないという自身の無力さと小ささを痛感させられると同時に、知らない世界に身を置くおもしろさに魅了された。
 この音楽や旅の経験が、現在のビジネスの礎になっている。当時、好きなロックバンドが民族楽器であるバグパイプを融合させて独自のカルチャーを作っていたことに衝撃を受けて海外に飛び出した。
 海外での旅を通じて「音楽は自由だ。他と同じことをやっていては勝てない。自分らしさ、チヨダコーポレーションらしさが絶対的に大事だ」という意識を持つようになった。これが、大手競合メーカーがひしめくマットレス業界において、独自の強みや特徴を打ち出す同社のプロダクト開発へとつながっている
 2003年に家業へ戻った山中社長は、翌04年に自社ブランド「源ベッド」のECサイトを立ち上げた。大きな転換期を迎えたのは20年のコロナ禍だった。それまで主流だったカタログ通販などの紙媒体ビジネスがインターネットの台頭で苦戦する中、04年に立ち上げていた自社ブランド「源ベッド」への投資を本格化。これが巣ごもり需要と合致し、21年度には前年比プラス13%、翌22年度には同プラス16%と爆発的な成長を記録している。
 現在では、総売上高の約50%を自社直販が占め、ネット卸が約2割、小売店への販売が約3割と、ビジネスモデルの劇的なシフトに成功している。インスタグラムやTikTokの活用、メディアやインフルエンサーなどによる客観的に製品を比較する企画への出演機会も大切にしているという。

次なるステージへ 台湾市場への本格進出とグローバル展開
 中国市場などで台頭するAIなどの最新睡眠テクノロジーを意識しつつも、同社は「睡眠環境全体の提案」へと領域を広げている。これまで得意としていたマットレスやベッドフレームに加え、昨年からは睡眠の考え方で共鳴したサプライヤーと共に開発した「源枕(みなもとまくら)」を新発売。顧客の睡眠の悩みに総合的に応えることで、ブランド力の確立と差別化を図る。
 チヨダコーポレーションは「挑戦と行動で眠りを変え、世界を変える」というミッションを掲げ、頭で考えるだけでなく、まずは挑戦・行動することを重んじている。その視線は日本国内に留まらず、すでに地球規模の眠りを変えること、そして海外への輸出を強く意識している。
 ブランド名である「源(みなもと)ベッド」は、漢字を用い「寝ることがすべての源、大事である」という意味を込めている。「夜香ハイグレード2」「咲夜レアル」など商品名にもあえて漢字を多用している。
 アルファベットの「A」1文字では意味が伝わりにくいのに対し、漢字であれば「夜」という1文字を見るだけで、その言葉が持つ情景やイメージを直感的に想像させることができる。この日本の「漢字文化の良さ」をブランドのアイデンティティーとして落とし込み、グローバル市場においても「分かりやすい日本のブランド」として勝負を挑んでいく構えだ。
 17年の韓国、18年の台湾への輸出を皮切りに実績を積んできたが、ここでも新たな一手を見据える。従来の海外バイヤーに販売を委ねる手法では、相手企業に主導権があり、同社が求める成長スピードとの乖離が生じていた。
 そこで同社は、最も打率が高く、日本の家具チェーンの出店率も高い台湾市場にターゲットを絞り、現地法人の設立を含めた自社主導の直販パッケージ(ECおよびリアル展開)による進出を計画。遅くとも来年までには台北市場への本格進出を目指す。

人より半歩頑張るだけで景色が変わる
 現在、中東情勢の影響でナフサから作られたウレタン・不織布といった原材料費が25~かぐしん30%近く高騰しており、同社も近々の価格改定を決定している。しかし、ただ値上げを受け入れるだけでなく、仕様の変更やサプライヤーの再選定といった企業努力を柔軟に行い「お客さまに負担のない、現状と変わらない最適な価格帯」を維持する方針だ。
 山中社長は次世代の若手経営者たちに向けてこう熱いエールを送る。
 「先代が築いたレールをリスペクトすることは大前提だが、同じことをしていては先代を超えられない。企業を継続させることだけをゴールにするのではなく、大事なことはグローバルな視点を持って、企業価値をいかに高めるかということ。人より半歩頑張るだけで景色が変わる。自分が得意な分野で、失敗を恐れずに挑戦してほしい。失敗は失敗と思わなければ、ただの『変化』であり、修正のチャンス。強い志を持って舵取りをしていかなければ、日本のものづくりの未来はない」

源ベッドのオフィシャルサイト https://www.minamotobed.jp/

今年はベトナムの展示会に出展、タタミベッドなど日本ならではの展示を行った
ポケットコイルが次々と自動で生産される
最新鋭の機械を導入してマットレスを作っている

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