ニュース2025.03.23
米国のトランプ大統領が国内に製造業を回帰させるために関税を強化していることについて、家具業界からは楽観、悲観それぞれの意見が出ている。家具専門誌ファニチャートゥデー(電子版)が3月18日に報じた。
トランプ氏は1月に大統領に再任して以降、国内の製造業を後押しし、雇用を守り、経済を強化するなどとして関税を強化している。これまで中国に対して20%、すべての国からの鉄鋼およびアルミニウムの輸入に対して25%の追加関税を課すと発表。25%の追加課税に関してはカナダとメキシコとの外交の交渉材料に利用しているとの見方もある。
ファニチャートゥデーが行った聞き取り調査によると、家庭家具協会のシャノン・ウィリアムス最高経営責任者(CEO)は、関税を強化しても製造業を呼び戻すのは困難だとの考えを示した。
ウィリアムス氏は「米国の労働市場は全範囲の製造を支えることができない」と指摘。その理由の第一に、家具企業の大半は製造ではなく、組み立てを行っていることを挙げた。
家具生産に使用される部品と材料の約50%は国外から調達され、国内では生産に必要な木材、金属、繊維、ガラス、ちょうつがい、ねじを製造していないという。
理由の二つ目には、国内の失業者の30%を製造業で雇用できれば200万人の雇用が生まれるが、アジアの製造業の雇用人数は数億人であること。三つ目には、製造業労働者の平均年収が国外で1万3000ドル(約195万円)なのに対し、国内では3・3倍超の4万3000ドルであることを挙げ、「生産コストと販売価格が上昇し、特に大規模市場である低価格家具の需要に影響が出る」と説明した。
◇木材の関税強化は大規模工場に恩恵
米国で最大規模の木製寝室用家具製造を手掛けるVaughan-Bassettのダグ・バセット社長(プレジデント)は、木材の関税が強化されれば、大規模工場を持つ企業が恩恵を受けると予想している。
バセット氏は「新興企業は木材工場を開設する許可を得るのに数年かかる。稼働させるには規制手続きを合理化する必要がある」などと説明。国内の労働力と材料が足りないというウィリアムス氏の指摘に対しては「米国には3億3000万人の人々がおり、ベトナム人口の3倍以上だ」と反論した。
さらに「これらの仕事(製造業)はかつて米国内に存在し、現在の2倍の規模だったが、自由貿易政策によりその一部を国外に移転させた。トランプ政権の展望は、製造業の基盤の一部を再建することだ」と語った。
また、Vaughan-Bassettは材料の国産比率が97〜98%、非国産品はねじと一部の金具だけ。木材と仕上げ材はすべて国産で、組み立て業者ではないとしている。
◇効果は限定的、財政支援求める声も
高級無垢材家具製造業者Gat Creekのガット・ケイパートン社長は、関税強化の効果は限定的になるとみている。具体的には、木製家具の輸入率は過去30年で10%から90%に上昇した。関税強化を一括して進めれば、国内の生産量を2倍にすることは可能だが、1990年の水準に戻すことはできないと予測。しかし「わずかな変化でも業界と地方の労働者にとっては素晴らしいことだ」と、トランプ政権の政策を肯定的に評価した。
オハイオ州に拠点を置く無垢材業者Mavinの販売マネジャー、デビッド・ウォレス氏は「家具製造インフラの多くは何年も前に国外に移転し、企業がそれを復活させるには多額の投資が必要になる。財政支援によるインセンティブがない限り、それ(回帰)は実現しそうにない」と話した。
このほかベトナムが低価格家具を大量に生産するのに最適な国だとし、「現状のまま米国で家具を生産し小売り価格を維持しようとすれば、多くの様式を諦め、品質を低下させ、自動化を大幅に進展させる可能性が高い」と警戒。ベトナムを標的とする高い関税を課す必要があるなどと主張した。
【注】この記事は配信元の許可を得た上で抜粋、要約して翻訳しています。原文はhttps://www.furnituretoday.com/furniture-manufacturing/do-tariffs-have-the-potential-to-bring-furniture-manufacturing-back-to-u-s/から読むことができます。
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