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★漆と木粉から新素材 ELEMUS、パリでバイオ成形技術紹介

原料は木粉と漆
URCYLの製品例、ウルシノキの幹を模した照明器具「UR01」

 天然素材による新たな工業材料の開発を行っているELEMUS(エレムス、愛知県岡崎市)はこのほど、漆と木粉を原料とした100%植物由来のバイオマス成形体技術「URCYL(アーシル)」を開発し、1月16日から20日までパリで開催されるインテリアとデザイン関連の国際見本市メゾン・エ・オブジェに出展すると発表した。
 同社によるとURCYLは、漆と間伐材や端材などを独自技術で微粉砕した木粉を使用したバイオマス成形原料。ABS樹脂とほぼ同等の物理的強度を持ち、抗菌性、抗ウイルス性、耐熱性を持つため、食器をはじめとする生活用品や照明器具、工業製品の部品などさまざまな活用が見込まれる。
 製品化に当たって同社では、デザイナーの秋山かおり氏をデザインディレクターに起用し、生活用品メーカーや企画に関わるデザイナーへのプレゼンテーションを行って、共に事業を推進するパートナーの開拓を目指すという。

ウルシノキの人工発芽にも成功

 同社ではURCYL開発に当たって、大学や研究機関と連携してウルシノキの自社栽培に着手し、これまで不可能とされていたウルシノキの人工発芽に世界で初めて成功したとしている。
 ウルシノキは通常、分根させた苗を植樹し造林するが、種子から発芽させた苗で増やすことで、環境に順応した個体が育成できる。発芽後15年程度で、樹液を採取できるため、⻑期的に安定した資源供給が可能となる。
 同社は現在、愛知県の中山間地で年間約5000本のウルシノキの苗を行政や地元住民、NPOと協力して栽培し、原料の国内生産へ向けた研究を進めている。

製品例の食器「UR11」。熱硬化樹脂ならではの艶や重みが特徴
ウルシノキ
秋山かおり氏(デザイン事務所「STUDIO BYCOLOR」)

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