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★木材の需要を増やし、森林の循環を促す東京の役割はとても大きい 「GOOD LIFEフェア」で小池都知事が講演

「GOOD LIFEフェア」で講演する小池都知事

 朝日新聞社主催「GOOD LIFEフェア」で10月25日、東京都の小池百合子知事が「木とグッドライフ―東京における地域産材の活用」をテーマに講演した。
 小池都知事はまず最初に、ストレスを軽減する木材の健康面、心理面での効果、地球温暖化や災害を防ぐ森林の基本的な役割について説明した。
 森林が少ないと思われがちな東京だが、実は東京の多摩地域をはじめ豊かな自然がある。その自然を守るためには、伐って、使って、植えて、育てるサイクルを回すことが必要であること。さらに「木づかい」による需要を増やすことが必要であるとして「東京は大消費地であることがポイント。木材の需要を増やして森林の循環を促していくためには、東京の役割はとても大きい」として「多摩の森活性化プロジェクト」など具体的な取り組みを紹介した。
 「多摩の森活性化プロジェクト」は、多摩地域の市町村と東京23区が連携して、木材の需要を生み出し、東京の森を育む広域的なプロジェクト。「山側と区部の複数の自治体が一体的に森林整備をしていこうという取り組みは実は全国で初めて。現在は13の区市町村と協定を結んでこの動きを進めている」と紹介した。
 47都道府県の知事が集まる全国知事会に「都道府県が集まって、取り組みや課題を照らし合い、日本の木材をさらに活用されるよう一丸となって国に要望しよう」と2018年に国産木材活用プロジェクトチームが組織された。小池都知事はそのリーダーも務めている。
 東京都は東京都美術館、都立墨東病院などで多摩産材の活用を進めている。小池都知事は「訪れた方々からは、木の良さを実感したという声を実際にいただいている」として、檜原村の公共施設から首都圏の商業施設、駅、病院などで多摩産材が使われている身近な事例を紹介した。
 都内では中・大規模建築物の木造木質化の大型プロジェクトが相次いでおり、都も支援している。2028年には丸の内に、木材使用量が世界最大規模となる東京日動火災保険本店ビルも完成予定。また「住宅の新築やリフォームの際に国産材を使うと家具などに交換できるポイントも是非使ってほしい。12月19、20日は東京ビッグサイトでWOODコレクション(モクコレ)2024」が開催される。一般の方々向けの展示販売も行うので、ぜひ足を運んでほしい」と呼びかけた。
 最後に、100年先を見据えて東京都に緑を増やすために進めているプロジェクト「東京グリーンビズ」を紹介した。7月に「東京グリーンビズマップ」が公開されており、公園や並木、民間施設などの緑あふれるスポットに加えて、緑に関するイベント情報などを一体的に発信している。
 最後に「私たちのグッドライフ、健全な森づくり、そして東京と日本の未来につながること実感していただけたのではないかと思う。身の回りで『木づかい』して、ちょっと足を伸ばして緑を実感し、森に親しみ木をいかに身の回りで使っていくか、自分ごととして進めてほしい」と結んだ。

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