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★【飛騨の家具フェスティバル】地域一体となり難局を乗り越えよう 飛騨木工連合会代表理事 白川勝規氏に聞く

飛騨木工連合会代表理事の白川勝規氏

 ――3年ぶりのメイン会場開催に当たって、コロナ期間中の苦労や開催決定に至る思いをお聞かせください。
 この2年間は、いつ感染拡大の波が来るか心配しながら、メイン会場を設けずに経費を節減しながら規模を縮小して開催しました。ショールームの展示だけでは、皆さんでやっているという感じを出しにくかったのですが、今回は飛騨の多くのメーカーがメイン会場に出展します。初登場の「Gifu Select」では、岐阜県の優れたものづくりを飛騨から発信します。さらに、匠・DNA展、飛騨の工房家具新作展、飛騨高山つくり手の会による新作展などが一堂に開催されてメイン会場を盛り上げます。
 ――飛騨デザイン憲章第1条「自然との共生~森に生かされ、森を活かす」のテーマを今なぜ、来場者に向けて届けようと思われたのでしょうか。
 飛騨デザイン憲章は全部で5条からなり、毎年順番にテーマとしてきました。コロナ前の2019年は第3条「心の豊かさ」でしたが、コロナ禍で苦労しながらやってきて、今年はリセットして第1条に立ち返ろうということになりました。自然との共生というテーマをナチュラル感を出しながら表現したいと思い、地元で頑張っていらっしゃる「飛騨の森でクマは踊る」さんにディレクションをお願いしました。
 ――「森に生かされ、森を活かす」は、昨年来のウッドショックや円安などによって国産材に注目が集まる中で、非常にタイムリーなテーマだと思います。
 私たちはこれまで、家具のデザインや品質など、できる限りのことをやってきました。さらに付加価値を付けることができるとすれば、それはもう「材料」だけではないかということで、5年ほど前から国産材の安定供給を行政に働き掛けてきました。海外に出展した時に「森林大国の日本がなぜ輸入材を使うのか」と突っ込まれたこともあります。世界に通用する製品を出していくためにも国産材をどんどん使っていこうということで、デザイン憲章の第1条に立ち返るとともに考えていこうと思います。
 ――昨年来のウッドショックやロシアのウクライナ侵攻の影響と円安の進行によって、輸入材をはじめ素材や原料が高騰していますが、その影響はいかがでしょうか。
 アメリカの建築材高騰の影響が広葉樹まで及び、さらにロシア材の供給も少なくなってしまいました。それに輪をかけた円安に皆さん苦しんでいます。資材、副資材、輸送費、燃料費など全てのものが上がる中で、飛騨でも以前から13~18%ほどの価格アップを余儀なくされています。コントラクトも7月あたりから動きが鈍くなっており、市場全体として、円安やウクライナ侵攻の影響がじわりと出てきています。
 一方で、安価な家具製品に市場が席巻されている状況ですが、円安や現地の人件費高騰の影響で中国製品による圧力も弱まっています。オーダーとニーズに合った国産のものづくりをしっかりやれば生き残っていけるはずです。円安で輸出の追い風も吹いてます。施設関係の受注でも岐阜県をはじめ、学校の改修など地域の皆さんのご協力をいただいていますので、悲観的な状況ではないと思います。
 ――今後、この局面をどう乗り越えていけばいいのでしょうか。
 岐阜県産品を発信する「Gifu Select」を発展させて、輸出も視野に入れて地域一体となって、ものづくり王国・岐阜県を発信しながらこの難局を乗り越えていきたいと思います。

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