ニュース2022.05.07
化成品・建装建材メーカーのアイカ工業(名古屋市中村区)はこのほど、SDGsへの理解を深める教育プログラムの一環として、子供たちが学校机の天板を改修する取り組みを埼玉県久喜市立小中学校7校で昨年12月から今年3月にかけて実施したことを明らかにした。
同社では、今回のトライアルで得られた教育現場の声を参考に教育的要素を深化させながら、より円滑に運用できる手法を構築し全国展開を目指すとしている。
天板にメラミンシートを重ね貼り
同社によると、学校机の天板は経年劣化に加えてカッターやコンパスによるひっかき傷などもあり、寿命は10年程度といわれている。
天板の改修に当たって同社では、粘着剤付きメラミンシート「メラタック」の重ね貼りを提案。児童自らが天板改修を行う教育プログラムの構築を、学校向け教材・教具開発、流通を担う三和製作所(東京都江戸川区)ならびに全日本学校教材教具協同組合と共同で進めてきた。
今回、埼玉県久喜市立小中学校7校で実施されたプログラムの内容は①天板改修で使用するメラミン化粧板が工場で製造される様子を動画教材で見学②メラタックを貼る前の下地処理を行う③天板にメラタックを貼り、ヤスリで整える―など。こうした工程を通して、ものづくりに興味を持つことや、耐久性が高い素材で学校机を改修することの意義をSDGsの視点で考える。また教科を横断しながら学ぶSTEAM教育にもつながるとしている。
コロナ禍、子供たちの思い出にも
参加校の中には学校生活最後の思い出づくりや、卒業制作として取り組んだ学校もあった。児童からは「板をズレないように貼ったり、ヤスリをかけたりするのが難しかったけど楽しかった」、「このあと使う子たちが、いままで使ったものよりもきれいだと驚いてくれるかなと、楽しみができた」などの声があがったという。
久喜市立久喜北小学校の柳田薫校長は「新型コロナの影響でイベントが中止になる中、子供たちの思い出づくりになった。前の学年から次の学年に机が引き継がれ、大切に使っていけることは、学びとして非常に充実した経験になった」と語る。
天板補修に使用されたメラタックウイルテクトは、傷に強く、耐薬品性、耐汚染性に優れた物性と簡易施工性とともに、抗ウイルス・抗菌性能を持ち、傷ついた学校机や飲食店テーブルなどの表面に貼る補修材料として利用され、2020年度のグッドデザイン賞を受賞している。
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