連載2022.01.30
2002年にスタートしたタンスのゲン(福岡県大川市)のネット通販は、取扱品目を家具や寝具に加えて家電、ベビー用品、アウトドア用品などに拡大するとともに、自社サイト「たんすのゲン本店」のほか、楽天市場やアマゾン、ヤフーショッピングなどのECモールに出店して事業規模を拡大、昨年度売上高227億円と大きく成長した。その原動力は何か? 同社が特に力を入れてきたことは「お客さまレビューへの返信の徹底」だという。
レビューは購入者が商品に対する評価や感想を投稿できるECサイトの機能で、投稿された内容は商品ページで誰でも見ることができるため、これから購入しようとする人の参考になるとともに、商品の販売にも大きく影響する。
楽天モールでの同社の商品レビューは54万8千件で、多くの販売会社が軒を並べる中でも突出した件数を獲得している。「全てのニーズはお客さまから」の視点から同社では、これらレビュー一件一件への返信に徹底して取り組んだが、これが思わぬ変革を生み出した。
ユーザーからの問い合わせやレビューに着目して全社的に取り組んだ結果、顧客からの意見、感想、質問には販売方法や商品開発のヒントが豊富に隠されていることがわかり、それを基に商品説明や商品の仕様の見直し、改善、新商品・派生商品の開発に積極的に取り組んだ。
実際にレビューを基にした商品開発や改善例として同社では次のようなケースをあげている。
◆A4サイズの書籍が収容できるL字型デスク=サイドラックが一体となった幅120㌢のデスク。旧モデルでは「ラックにA4サイズの書籍などが置けない」というレビューを受けて、書籍やPC周辺機器の収納ができるように改良した。
◆洗えるカバーリング座椅子=ユーザーの「カバーが洗えて、きれいに長く使える座イスが欲しい」という声を基に開発。クッションがへたったら交換も可能。
◆ステップ台がしっかりと固定されたキャットゲージ=ゲージの中で運動ができるステップが「網に掛けるだけでは猫が動くとグラグラしてしまう」というレビューを受けて、ステップの固定方法を変更し安定化させた。
こうした改善や開発から多くの人気商品が生まれ育ち、通販の業績向上につながった。
新型コロナ感染症は通販業界にとって需要の拡大を招いたが、国内では感染者の減少に伴い規制措置の緩和などが進んでいる。こうした中、同社では次年度の計画として次のような戦略目標を掲げている。
①取扱い品目の拡大=ユーザーのライフスタイル・ニーズから、生活を豊かにする商品・サービスを拡充する。
②販売・接客方法=実店舗と同等以上の適切な製品知識を基に商品・サービスの正しい情報や特徴を伝えられる商品ページを追求。
③CS・物流=少しでも早く手元に欲しいという顧客のニーズを満たすために「365日出荷体制」実現に向けて社内体制の整備、組織づくりを行う。
同社ではコロナ以後もネット通販が購買行動のメインストリームに定着するとして、実店舗に行けない顧客に製品の良さを伝え、実店舗以上のサービスを展開できるようデジタルトランスフォーメーション(DX)の拡充を中心に取り組むことにしている。
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