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★RoomClipが選んだ今年のトレンドワードは「心地よい暮らし」 ベストプロダクトは「ラタンチェア」

ルームクリップ社長の高重氏(右)と執行役員CBOの川本氏(左)

 ルームクリップは12月6日、その年の住まいと暮らしのトレンドを選出する2021年の「RoomClip Award(ルームクリップアワード)」を発表した。インテリア写真共有サービス「RoomClip」に投稿された実例写真、写真に付与されたタグや「いいね」、コメント、検索キーワードなどのデータを分析して、2015年から毎年発表している。
  トレンドワードをランキング形式で選ぶ「キーワードランキング」の1位は「心地よい暮らし」。このキーワードをタグに入れた投稿は、前年の2・4倍に増加した。
 RoomClipのサイトやSNS上で18年まで話題の中心を飾ったのは、インテリアのスタイルや見映えだった。19年になると「植物や子どもとの暮らし、絵のある暮らしなど自分にとって大事な何かが話題になった。それを踏まえて『自分スタイル』がキーワードの1位になった」と執行役員CBO(Chief Branding Officer)の川本太郎氏は説明した。
 20年になると新型コロナウイルスの感染拡大で一変した。緊急事態宣言が発出された4月、RoomClipのユーザー数は、前年の倍以上にあたる830万人まで膨れ上がり、ステイホームにどう対応するかがテーマになった。
 川本氏は「昨年は非日常をいかに暮らすかということで『おうち〇〇』がキーワードランキング1位に選ばれたが、コロナが長期化するなか、一歩進めていかに心地よく暮らすかがテーマになった。世界的な潮流となっているウェルビーイング(well-being)とも合致している」と説明した。5月に実施した投稿イベント「心地よい暮らしのための工夫」は初開催ながら1200を超える投稿が集まったという。
 2位は「花・植物のある暮らし」。植物のある暮らしや観葉植物の写真投稿は、昨年の倍以上に上った。ドウダンツツジやパンパスグラス、 ミモザといった花瓶にさすだけで部屋の雰囲気が変わる大ぶりの枝物の投稿が増えているという。
 3位は「暮らしの快適家電」。4位には販路が増えて手に入りやすくなった「韓国インテリア風プチプラ雑貨」がランクインした。
 その年を象徴する住まい・暮らしの商品を選定する「ベストプロダクト」は、心地よい暮らしのトレンドの中で癒しの雰囲気と座り心地に支持が集まったランドマークのラタンチェアなど12アイテムが選ばれた。
 今年初めて設けられた「ベストショップ」は、売り上げやRoomClipユーザーの反響などを総合的に算出した「総合賞」にイケヒコ・コーポレーションなど6店が選ばれた。ショップのフォロワーの獲得数や投稿した商品写真に「いいね」がついた数などを基準として選定した「特別賞ファン部門」は輸入雑貨イエなど7店、コメントや「いいね」などのコミュニケーションをした数を基準として選定した「特別賞ユーザー部門」は、インテリア専門店のリメクルなど4店が選ばれた。
 詳細はhttps://roomclip.jp/special/award2021/

「多様化するユーザーに適切な購買体験を」
RoomClipが目指す世界

 「普通に日々生活していく中で、自分なりに、生活をちょっと変えようとする意識を応援したい」。高重正彦社長は6日のアワードの発表会でルームクリップの企業コンセプトについて説明した。
 同社の設立は2011年。東日本大震災で、福島県いわき市にある高重氏の実家が引き払われることになり「自分がその人生の中で一番長く過ごし、こだわりや思い入れ、自分なりの歴史が詰まった場所がなくなった」体験がきっかけだったと話した。
 「スマートフォンやソーシャルメディアのような新しいテクノロジーを使って、人が暮らしの中でどう創意工夫をして、何を考えてそこで生きているのかシェアして、ほかの人も自分なりに工夫していくことによって、もっと日々の生活が豊かになると思った」
 「RoomClip」には、500万枚以上の住生活の実例写真などが投稿されている。ユーザー数は、月間約600万人に上り、30歳代女性の会員が最も多い。インスタグラムのフォロワーは約66万人、米国の写真共有サービス「ピンタレスト」は37万人以上などSNSでも多くのファンを持つ。ラインの友だち登録は240万人以上に上る。企業の同サービスの活用も進んでおり、約300社が利用している。そのうちの約4割が家具・インテリア関係という。
 「RoomClip」に多くのユーザーが集まる背景として高重氏は「昔のように多くの人が同じテレビ番組を見ている時代ではなく、スマートフォンやパソコンを使ってそれぞれが違う情報を取得している結果として、価値観が多様化している」ことを挙げた。
 さらにコロナの影響によるライフスタイルや世帯構造の変化を挙げ「この3つのベクトルで多様化が加速している」ことを話した。
 一方で商品を販売する企業側の産業構造やサプライチェーンは、大規模店やホームセンター、総合スーパー(GMS)、家電量販店に集約され「多様化するユーザーとの大きなギャップが出てきている」ことを指摘した。
 ルームクリップは「だれもが自分の好みに合わせて自分の住生活を変えていける、そういうことを実現できる世界を目指すプラットフォーム」として、適切な購買体験を提供することを目指している。3月からは電子商取引(EC)を開始。「ソーシャルメディアからソーシャルコマースのプラットフォームへ進化している」。
 企業向けサービスとして昨年9月から開始したダイレクト・ツー・コンシューマー(D2C)クラウドサービス「RoomClipビジネス」では、企業がサイト上にショールームを開設することができる。今回「ベストショップ」に選ばれたイケヒコ・コーポレーションもその一つ。畳・い草アイテムなどの売れ行きが伸びているという。

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