ニュース2020.02.19
世界で最も高齢化が進んでいる日本では、ロボットをはじめ介護用品のテクノロジーの開発が進んでいる。在宅や施設などのニーズにインテリアはどう応えるのか。家具新聞は、4月のミラノデザインウィーク期間中にイタリア・ミラノでシニアライフをテーマにした展示会を開催する。展示会に向けて日本のインテリア、介護用品の「いま」を取材してお伝えする。
シンプルでコンパクト
最適の「角度」を徹底追求
国内最大規模の展示会「ギフト・ショー」は今年、西館、南館、そして青海展示会場の3会場で開催された。東京・五輪パラリンピック開催に向けて東館が工事中のため異例の分散開催となった。新型コロナウィルスも展示会の集客に影響が出始めている。そんな逆風をものともせず、ギフト・ショーの各会場は多くの来場者でにぎわっていた。
熱気あふれる西館の一角にある商談スペースでは、60度の角度でデザインされた三角形の木製テーブルが並べられた。モア・リビング(静岡県袋井市)が開発した介護用三角テーブル「Smile°60」だ。パイン材のくっきりとした木目が浮かび上がり、天板の中央には、認知症患者の目印になるようにカラーリングされた三角形のプレート(メラミン化粧板)がついている。シンプルでコンパクトなこのテーブルには、驚くほど介護の現場を考え抜いた機能性がつまっている。
モア・リビングは2001年に創業。商業施設・介護施設などの什器や個人の住宅の特注家具やウッドデッキ製造販売ならびにリフォームを行っている。同製品の他にも、「畳ユニット掘り炬燵」や「サークルベンチ」を開発してきた。
「Smile°60」は①視線が直交せずリラックスできる②一人で二人の介助を同時に行うことができる③パーソナルスペースが大きく自分のスペースがとれる―の3つの特徴を持っている。
「60度という角度は、人が両目で同時に見る視野の角度が120度であることから生まれた」と話すのは同社社長の小室好弘さん(74)。8、9年前に自らこのテーブルをデザインしたという。
食事の時などに介助者は両脇の介護者が視界に入るため双方に気を配りやすくなる。「各々の食べる速さが異なるため介助に苦労しているという現場の声からこのテーブルは生まれた。2人の利用者の様子が分かることで安全性・安心感を高め、介護の効率アップを図り、スタッフの食事介助の負担を軽くできる」と小室さんは説明する。
14年には袋井商工会議所の小規模企業向け経営発達支援計画に採択され、専門家のアドバイスによる三角テーブルのブラッシュアップが3年計画で始まった。視線が重ならないため、初対面同士でもリラックスできることから、婚活スペースやショップ、レストランなどの用途も考え出され「それまで独りよがりでやっていたことがよくわかった」と小室さんは振り返る。
「Smile°60」は、グッドデザインしずおか賞と磐信がんばるビジネスコンテスト特別賞を受賞しいる。
日本のシニア向けの製品には、小規模ながらきらりと光る発想とアイデアがつまっている製品が多い。世界に誇れるその技術を紹介したい。
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