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変化の胎動 2020年幕開け 随所に地域材の試み 大川家具新春展

ヒノキを使った志岐インテリア工業の「MABI」
別棟に設けられた「SOUSEIプロジェクト」のコーナー。手前はセンダンを使ったレグナテックのソファ

 家具産地展の幕開けを告げる第52回大川家具新春展が1月15、16の両日、福岡県大川市の大川産業会館をメーン会場に開催された。会場では地域材を使った取り組みや、多様化する市場のなかで生き残りをかけて「変わろう」とする意気込みを感じさせる展示が随所に見られた。展示の中からピックアップして紹介する。


 志岐インテリア工業の「MABI(マビ)」は、ユーザーが軽やかなシェルフのユニットを自在にレイアウトできる。国産ヒノキの自然な素材感を水性クリア塗装で生かし、日本独特の「間(ま)」の感覚に着目した。
 「海外では時間とスペースを分けて考える。日本は『間』で時間や空間を表現する。それを弊社なりに形にした」(営業企画部)。この日本人の「間」の感性を日本古来の「大和比(1対1・414)」の比率で正方形に表して細部までこだわった。
 ホームユースから店舗什器やホテルなどのコントラクトまでターゲットを広げ、昨年のIFFT/インテリア・ライフスタイル・リビングでのデビュー以来「これまで取引がなかったところからも声がか掛かっている」(同)という。
 大川産業会館に隣接する広場では地域材を使った屋台などが展示され、別棟ではセンダンなど地域材を使ったSOUSEIプロジェクトの新作が披露された。
 「WATAI(ワタイ)」は、福岡に今も残る屋台文化を国産ヒノキを使って再現した。上部のフレームにはテントや照明を付けられ、移動時はコンパクトにまとめることができる。屋台文化プロジェクトを推進している「軒先リヤカー研究所」との協働で開発され、レグナテックと手作り家具工房日本の匠が製造している。
 「オフィスの休憩室にミニバーとして、モデルルームの見学会の集客などでの利用もできる」と手作り家具工房日本の匠の森田英友社長は提案する。
 丸仙工業は6種の地域材を使った子ども向けテーブルと椅子を出品した。台形テーブルは、2つ組み合わせるとコンパクトな六角形に、6つ組み合わせると12人掛けの六角形のテーブルとして使える。スギ、ヒノキ、センダン、セン、ユリノキ、キリと各種の地域材を使っており、子どもたちの木育環境にぴったりだ。
 ウエキ産業は早生広葉樹のセンダンを使った丸リビングテーブルを展示した。「エシカル・ウッド センダン」の魅力を伝えようという同社の一作。家族や仲間の団らんの場として提案した。150年生の年輪を刻んだスギを展示して地域材の魅力を伝えた同社のブースは、会場でも情報交換の場となってにぎわっていた。

関家具 ゲームチェアの最新作

 関家具は約300点の新作を投入した。なかでも同社のゲーム好きの若手の発案で製品化されたゲームチェア「WINcase(ウィンケース)」は、人間工学による座り心地を追求して新分野に挑んだ新作として注目される。
 同ブランドの新作「Type−R(タイプアール)」は、さまざまなプレイスタイルに適応して角度を変えられるアームレスト(フォームアシストアーム)、オットマンとスパイン(脊椎)サポートによる長時間プレイを快適にする機能を備えた高機能ゲーミングチェア。希望小売価格は13万4700円(税別)。
 同社のデザインチームが手掛ける「クラッシュクラッシュプロジェクト」のコーナーでは、オフィスなどコントラクト提案に力を入れていた。

アルファタカバ 「収育」考えたシェルフ

 アルファタカバは、「収育」の理念を掲げる一般社団法人日本収納検定協会、九州産業大学との協働で開発した「収育シェルフシリーズ」を展示した。
 小早川恒緒社長は「子どもたちは、やり方が分からないから片付けできない。それでは、きちんと片付ける環境をつくろう」とプロジェクトの成り立ちを話した。
 収納を手掛けるメーカーとしてのオリジナリティーを追求し「どうすれば片付けしやすい環境につながるか考え抜いた末にこの形になった」と小早川社長。シンプルな形に、工夫がつまっている。ベースと棚板を組みわせることで、物の定位置と見える化に対応、さらに子どもの成長に応じて、物をしまう最適な高さ「ゴールデンゾーン」に沿って高さ調節ができる。

モーブル 「IKASAS」販売展開

 モーブルは、同社が正規販売代理店となって展開を図るインターナショナルブランド「IKASAS(イカサ)」を展示した。昨年の10月に販売契約を結びIFFT/インテリア・ライフスタイル・リビングで同社初の展示を行った。
 神奈川県と上海市を拠点にデザイン活動を展開するデザイナー・佐々木章行氏が立ち上げた同ブランドは、2015年に上海市静安寺のKERRY CENTREで先行発表した後、プロダクションのための数々の改良や新作を加え、現在の製品ラインナップに至っている。
 同シリーズのスツール「KAMOME STOOL」は2018年にグッドデザイン賞、2019年にiFデザインアワードを受賞している。

国産ヒノキの「WATAI」
木育環境にぴったりの丸仙工業の子ども向けテーブルと椅子
センダンを使ったウエキ産業のテーブル

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