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国産広葉樹の供給に配慮を 年頭所感 一般社団法人日本家具産業振興会会長 加藤知成氏

一般社団法人日本家具産業振興会会長 加藤知成氏

 新年明けましておめでとうございます。
 2020年の新春を迎えるに当たって一言ご挨拶申し上げます。
 私が考える今年のキーワードは『改革』であり、その具体例として働き方改革をあげたいと思います。
 厚生労働省によると、働き方改革が目指すものとは、働く人の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることとしています。
 わが国の生産年齢人口(15~64歳)は、30年後にはピーク時の6割程度になるという予想もあります。
 昨今の当業界でも人手不足という声も聞かれており、経験と技術をもった高齢者や女性の積極的な活用も行っていかなければなりません。
 さらに私が指摘させていただきたいのは、働き方改革とは、要は「経営者の働かせ方改革」にほかならず、経営者が「社員の能力をいかに活(い)かすか」であり、この点に経営の浮沈がかかっていると思います。
 これまで経営者が得てきた経験や実績はたしかに貴重なものといえますが、社員による思いもつかなかった発想や気がつかなかった視点が、これまでとは違った展開に結び付くということもあるのではないでしょうか。
 そのためには、社員にはこれまで敷いたレールを走ってもらうだけでなく、その走っている社員が現場で感じたことやそこから思いついたアイデアに耳を傾けること、それを実行したいという意欲を後押しすることが大切ではないかと考えております。
 私が先にあげた「経営者の働かせ方改革」は、経営者自らがその必要性に気づき、実践しなければ達成できません。自社のゆくえを考える時、まずは自らを改革する意識をもつことが必要ではないでしょうか。
 ところで本年はいよいよ東京オリンピックが開催される年です。
 そのメイン会場となる新しい国立競技場では、国産材が多く使われていることが報道などで知られるようになり、国産材や「木を使うこと」に対する関心が徐々に高まってきているように感じています。
 これにより木製家具に対して、あらためて注目されることを期待したいところでありますが、広葉樹を使うケースが多い当業界では、国産広葉樹の流通量がまだまだ少ないこともあり、これを使うのが一般的とはいえない状況です。ある調査では国産の広葉樹の備蓄量は針葉樹の4割程度あるそうですが、そのすべてが家具に使えるわけではなく、また家具に使えそうなものでも量が揃わなければチップ材になってしまうという記事を読みました。また家具メーカーがふだん仕入れている木材問屋にも、国産広葉樹の情報があまりないという現状もあるようです。
 木材を適正に使うということは、国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の中のいくつかの目標にも沿うものであり、当業界でもすでに取り組んでいる例もあり、ぜひこの動きを広めていきたいと考えております。このためには国産広葉樹をもっと家具メーカーに身近なものとするためにも、供給していただく側の皆様のご配慮をお願いしたいと思います。

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