匠の家具職人、木材塗装業界をけん引 戸山顕司さん死去

木工技術の伝承の大切さについて語っていた戸山さん(2016年5月)

 優れた技術でアーリーアメリカンファニチャーを作り続け、日本の木材塗装技術の発展に寄与した戸山家具製作所会長の戸山顕司さん(77)が昨年12月6日、約2年間の闘病の末に亡くなった。



 父・巌さんが1948年に戸山木工所として操業した戸山家具製作所に61年に入社、同社は70年からアーリーアメリカン(コロニアル)スタイルの家具を髙島屋横浜店家具売り場で「横浜クラシック家具」のプライベートブランドで販売した。
 83年、巌さんの死去とともに社長に就任。洋家具塗装の神様といわれた斎宮武勒氏に学び「もうお前に教えることはない」と言わしめた。その後もデンマークの塗装シンポジウムに参加、オイルフィニッシュを日本に紹介したデンマーク王立研究所塗装技師のジョルゲン・レスレー氏に学び、戸山氏が塗装のバイブルとした「Furniture finishing textbook」の著者であるW・E・マーチン氏の息子、E・D・マーチン氏との交友を深めた。88年には神奈川県知事から家具塗装優秀技能者として表彰され、2014年から18年まで4年間、木材塗装研究会会長を務めた。
 家具の塗装は「ラッカーに始まりラッカーで終わる」という信念を持ち、本紙に連載した「ラッカー塗装に生きる」は好評を博した。ほかにも、「戸山家具の生い立ち」を本紙に連載するなど健筆を振るった。
 妻の三四子さんによると「やりたいことはいっぱいある。分からないこともある」と最後まで話していたという。闘病中も戸山家具製作所のルーツである芝家具の歴史を後世に残そうと執筆を始めていた。
 12月11日の告別式では、戸山さんの盟友である木材塗装研究会前会長の東海林貞雄さんが弔辞を読み上げた。2012年、戸山さんの弟子として入門したオリバー・ストランドさんのメッセージも届いた。当時、米ハーバード大学の学生だったストランドさんを紹介した斎宮氏の長男の妻である和子さんが読み上げたメッセージには「私が学生の時に生き方を与えた人です」とあった。ストランドさんは、米国で木工芸の教師をしている。戸山さんの教えが今、米国で花開こうとしている。

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