ニュース

本社主催クリーンウッド法セミナー 大川で開催 合法木材の利用意識高まる

家具、木材業界から約150人が集まった
佐々木氏

 家具新聞社などが主催する全国セミナー「地域経済活性化セミナー クリーンウッド法と家具業界~解説と報告 国内外を市場としたビジネス戦略」の第1弾が7月27日、国内最大の家具産地、福岡県大川市の大川産業会館で開催された。家具業界をはじめ、林業・木材業界、建設、サービス業界関係者ら約150人が参加し、クリーンウッド法の概要や合法伐採木材を家具に使用する意義などを語った講演に熱心に耳を傾けた。地元福岡はもとより、佐賀、大分など周辺自治体からの来場も多く、参加者はクリーンウッド法登録に前向きな姿勢を見せた。

世界の潮流 活性化へ

 セミナーの冒頭で大川市の倉重良一市長は「家具業界にとって大切なセミナーが大川市からスタートすることは大変うれしい。大川から持続可能な経済発展を進めていきたい」とあいさつした。 「クリーンウッド法の概要と意義」を解説した林野庁林政部木材利用課林業・木材産業情報分析官の河野晃氏は初めに、同日付で林野庁長官になった牧元幸司氏からのメッセージを読み上げた。メッセージでは、クリーンウッド法は、国内における木材の利用拡大だけでなく「木材輸出の推進といった海外に向けた取り組みの推進に当たっても大変意義深い」ことを強調した 河野氏は最後にクリーンウッド法の事業者登録状況に触れ、「昨年11月の登録開始から7月26日までに122件が登録、家具業界からはワイス・ワイス(第2種)、カンディハウス(第1、2種)が登録した。(家具事業者は)今、登録すれば確実にトップランナーになれる」と話した。また合法伐採木材の利用を進めていくために「流通、加工、販売それぞれの段階で登録事業者を増やし、川上から川下まで合法性の確認の連鎖をつくり上げていくことが重要」とした。

「ビジネス」テーマに

 続いて、講演の部「クリーンウッド法とビジネス」で、サステナビリティ・コンサルタントでディープグリーンコンサルティング代表の籾井まり氏が「世界の環境潮流とクリーンウッド~日本製紙連合会のビジネス事例とともに~」をテーマに登壇した。
 籾井氏は、欧米におけるデューデリジェンス(DD、企業などが払うべき注意義務や努力)の考え方について、中国などサプライヤーの国の汚職レベルがひどく、関連文書の信頼性に欠けることが問題となったデンマークの企業の事例を挙げ「デンマーク当局はDDについて『自分で説明できる』ことを求めた。通常は海外コンサルタントを利用して対応するが、この会社では供給プロセスをクリアにすることによって顧客からの評判が上がった」という。
 日本の家具業界に対しては「世界的な流れもあり、日本でもESG(環境・社会・ガバナンス)リスクを管理しきれていないところに投資はしないという動きが広がっていることを理解する必要がある」ことを挙げた。
 クリーンウッド法を家具業界活性化につなげるには、SDGs(エス・ディー・ジーズ、国連が定めた持続可能な開発目標)や1980年以降に生まれたミレニアル世代の倫理性を重視する消費傾向も踏まえ「環境問題や社会的課題を解決する製品やサービスを提供することで新しい価値を生み出し、消費者と共有することで事業成長のツールとなるはず」とアドバイスした。

環境調達の先進事例

 積水ハウス環境推進部部長の佐々木正顕氏は「これからの住まいとクリーンウッド~環境調達の先進事例、住宅から家具まで~」を講演した。
 佐々木氏は、木材調達ガイドラインを示し、既に事業者登録している同社の取り組みについて説明した。住宅業界は持続可能な社会に向けて、家具業界に先んじてクリーンウッド法対応を進めている。「規制法ではなく、奨励法であることが他社と差別化できるチャンス」と話した。
 「第2種事業者にとって一番良いのは、特定の製品を登録して徐々に範囲を広げて小さく始められること。例えば、自社にとって無理のない範囲でSDGsを考えた新しい商品やブランドをつくってみてはどうか」とアドバイスした。
 最後に、登録実施機関の一般財団法人建材試験センター常任理事の尾澤潤一氏が登録の流れを解説し、個別相談会を行った。

籾井氏

ニュースの最新記事