ニュース2018.07.18
飛騨産業は7月3日、東京ミッドタウン・デザイン部との共催で、スイスのデザインスタジオ、アトリエ・オイのパトリック・レイモン氏を招いたトークレクチャー「素材から生まれるアトリエ・オイのデザイン」を東京・赤坂の東京ミッドタウンで開催した。「CASA GIFU」プロジェクトで「Gifoï(ギフォイ)」をデザインしたレイモン氏は、飛騨産業とのコラボレーションについて「アイデアが20倍、30倍に膨らんだ」と語った。
岐阜県は2016年から県内の地場産品のブランド力を高め、海外販路の拡大につなげることを目的とした「CASA GIFU」プロジェクトを進めている。プロデュース・デザインにオイを起用、地元企業との連携で新商品を開発してミラノデザインウィークに出展してきた。
この間、柾目圧縮によるスギ材を使った飛騨産業の「ギフォイ」をはじめ、美濃和紙を使ったちょうちんやモビール、関市の刀匠と作ったモダンな外見の日本刀、美濃焼のアロマデフューザーなどを生み出した。
レイモン氏は「オイはトロイカである『3人』を意味する。人を前面に出すのではなく、チームとして活動し、プロジェクトを大切にしている」と話した。
「素材について、さまざまな文脈の中で考え、歴史の流れの中で作品が生まれる。形にならない素材はアーカイブして保存しておく」とデザインの根幹となる考え方について述べ、ブルガリ、ルイヴィトンなど一流ブランドの作品を紹介した。
「まず最初に素材がある。料理人のように触感を確かめることから始まる。素材に魅惑されてそこから何かを考える。だから岐阜に関心を持ち、素材に引き付けられた」という。「岐阜には、自然があるからこそ成り立つ産業がある。そして素晴らしい職人がいる」と「CASA GIFU」のプロジェクトを紹介した。
レイモン氏は高山で飛騨産業の圧縮スギ材に出合った。「刺し身のような感じで、感触が素晴らしかった」
「ギフォイ」のプロトタイプを手に取りながら「これを作るのは悪夢のように難しかった」と語った。柾目圧縮したスギの表面を削って美しい木目を出すと同時に、曲げることが必要だった。「飛騨産業と仕事をすることによって、われわれのアイデアが20倍にも30倍にも膨らんでいった」という。
「たくさんの試験を行い、新しい機械まで考えた。圧縮材であらゆる形ができるということなので、いろいろな形をつくってみた。われわれにとっては、デザイナー冥利(みょうり)に尽きる、天国のような大好きな場所だった」と語った。
岐阜県商工労働部観光国際局海外戦略推進課長の桑田善晴氏は「オイは岐阜のことを熱心に知ろうとし、地元のことをよく考えてくれたのが組んだ理由。今後はオイと民間企業との場づくりをしながら、違う形で岐阜の地場産業をアピールしていく」と話した。
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