ニュース2021.09.15
ポストコロナの働き方はどう変わるのか。オフィス家具業界をとりまとめる日本オフィス家具協会(JOIFA・黒田章裕会長)は、「在宅勤務とオフィスワークを併用したハイブリッドワークが世界の主流になりつつある」という。来年4月26日から28日までの3日間、東京ビッグサイトで初めて開催されるオルガテック東京もこれからの「働き方」を考える場となる。8月18日号に続いて、貫名氏に聞いた。
イノベーション型企業の困惑
―在宅関連の家具の売り上げが伸びていますが、これからどうでしょうか。
JOIFAでは半年に1回、景況感について会員企業経営者の主観を尋ねているのですが、昨年9月は8割が「良くなかった」という答えでした。ところが今年3月になると劇的に改善して、「良かった」と答えた人が過去5年間で一番多くなる結果となりました。
半年前の9月を底に、3月になると売り上げが増えているところが多くなり、過去最高の売り上げを記録した会社もありました。昨年は3月からコロナが広がりはじめて、4月に緊急事態宣言が発出され、5、6月と営業活動ができなかったため、7、8月と売り上げが伸びなくて9月はもう最悪の状態でした。ところが、コロナ対策商品で巻き返して3月にかなり伸びたわけです。
これはあくまでも一時的な話です。ではこれからどうなるかということで、「働き方」の議論に入るわけです。ポストコロナのオフィスはどう変わるか。私たちは、在宅勤務とオフィスワークの併用になると考え、それを「ハイブリッドワーク」と呼んでいます。世界でもこれが主流になりつつあります。
1週間のうち何日会社に行って、何日在宅するか、どんな形で出社するかという働き方について議論するのがJOIFAの今年のテーマです。昨年は在宅勤務の調査報告書をまとめ、アンケートをとって課題を掘り起こしました。今年は、これからの働き方がどうなるのか議論しています。
在宅勤務でどこが困ったかというと、実はアメリカのシリコンバレーなのです。みんなが家に引きこもってイノベーションが起きなくなってしまったからです。今回のパンデミックで分かったのは、イノベーション型の企業ほど影響が大きいということです。新しいアイデアが出てこないから、新しいものが生まれない。先端企業ほど人が集まってわいわい言いながら考えを出しているところが多く、だからアップルが今年の9月から週3日間会社に出てこいって言い出したわけです。まさにこれからの働き方の議論ってそこなのです。
企業はイノベーションをいかに起こすかを考える。ワーカーは心身ともにいかに楽かを考える。ここの折り合いです。この議論をいろんな視点からやりたいと思っています。JOIFAの各委員会で連携をとりながら、これからの働き方はこう変わります、だからそれに必要なワークプレイスもこう変わりますというメッセージを発信したいと思っています。
オルガテック東京初開催に向けて
―その発信の場はオルガテック東京ですか。
テーマとして「ザ・ライズ・オブ・ハイブリッドワーク」とあるように、オルガテック東京ではハイブリッドワークを具体的に体感していただくような展示会にしたいのですが、その背景となっている働き方がどうなるか議論するために、年内には「フューチャー・オブ・ワーク」をテーマにシンポジウムを開くことも考えています。
海外も含めてオルガテック東京の出展を既に決めた企業もあります。現在、出展しようと思っている会社も相当数ありますので、それでほぼ出展枠が埋まってしまわないように、コマ割りを工夫して出展面積を増やそうと調整しているところです。家具だけでなく照明や床材からIT関係までオフィスをつくるのに必要な物を供給されているところにもお声掛けしようと思っています。
一つ一つの展示も大切ですが、全体として、やはりこれからのオフィスがどうなるかを見ていただけるような、しつらえにしたいと思っています。ここが一番難しいところですね。だから、出展を予定されている会員企業さんには、オルガテックの委員会にもオブザーバーとして出席して、生の議論を聞いていただいています。デザイナー、建築家、あるいは経営者といったプロのお客さまをターゲットにどう訴えるかを委員会では議論しているのですが、その話を聞きながら各社は展示の空間構成を考えています。
ハイブリッドワークをテーマにしながら、それを実現するためのさまざまなものを見せることも考えています。また、バーチャルをどこまで使うかも今は議論している段階で、11月あたりには固まってくると思います。
―ホームとオフィスの垣根がなくなってきていますが、ホームのメーカーも出展を考えているはずです。
JOIFA以外の会員企業からも多くの出展申し込みや問い合わせがありますが、皆さんワークプレイスをテーマにして出展されると思います。ホームオフィスという展示もありだと思います。
もともとオルガテックは、業界の人が集まって交流の場をつくる展示会です。この商品がいくらという話をするのではなく、あなたの会社はどういうポリシーを持って今後やっていくのですか、というような話をする場所なのです。だから訪ねてきた人同士が交流できる場も考え、一方的な展示会というよりも、パーティーというと大げさですが、レセプションをやっているような雰囲気をつくりたいなと思っています。実際、本家ドイツのオルガテックは、そんな雰囲気です。各社のブースで座り込んで、ワインを飲みながら話しているのが普通なんです。プロフェッショナルな方が集まって交流する場をぜひとも実現したいと思っています。
※インタビューは8月6日に行いました。
ぬきな・えいいち 大阪大学大学院修士課程機械工学専攻。1985年コクヨ入社。オフィス家具事業部門で三重工場建設プロジェクトに関わる。コクヨマレーシア社長、生産本部長、コクヨファニチャー社長、技術担当役員を歴任。2020年コクヨを定年退職。趣味は鉄道模型。「月刊とれいん」に「E.NUKINAのB級コレクター道」連載中。
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