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★欧州新規制にどう対応 アメリカ広葉樹の合法性・持続可能性および Sustainable Hardwood Coalitionについて(上) サステナブルな 管理を強調するアメリカ広葉樹輸出協会

米国大使館農務担当公使のモーガン・パーキンス氏
AHEC専務理事のマイケル・スノー氏

 アメリカ広葉樹輸出協会(大阪市北区)は9月5日、アメリカ広葉樹の合法性・持続可能性と、欧州でこのほど導入が決まった「EU森林破壊防止規則(EU Deforestation Regulation、略称EUDR)」に対応した「持続可能な広葉樹認証プログラム(Sustainable Hardwood Coalition、略称SHC)」について紹介する記者発表会を都内のホテルで行った。EUDRの規制内容とアメリカ広葉樹の現状と持続可能性の取り組みについて、11月8号と2回にわたって紹介する。

 日本では2017年に施行された「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律(通称「クリーンウッド法」)」が、今年5月に改正され、木材関連事業者に合法性の確認などが義務化された。
 欧州では、欧州連合(EU)の違法伐採木材などの取引を規制する「EU木材規則(EU Timber Regulation、略称EUTR)が13年に施行され、さらに今年になってEUDRの導入が決まった。EUDRは、合法性および持続可能性に関する要求事項を満たさない製品のEU市場への持ち込みや、EU市場からの輸出を禁止する法律。AHECは、17年以来の調査研究結果に基づいて、海外輸出の際に、木材が環境に及ぼす影響に関するデータを提供するアメリカ広葉樹環境プロファイル(AHEP)に続いて、小規模事業者のための広葉樹認証への新たなアプローチとして「SHC」を新たに作成した。
 記者発表会の冒頭で、米国大使館農務担当公使のモーガン・パーキンス氏は「AHECの枠組みが、改正クリーンウッド法のデューデリジェンス(DD)の要件を満たし、アメリカ広葉樹が合法的に調達されており、持続可能な方法で管理されているという保証を日本の企業の皆さまに提供できると確信している」とあいさつした。
 さらに、アメリカ広葉樹を日本や世界各国に強く推奨する理由として、サステナブルに管理されていることによって、その蓄積量が増えていることを挙げた。

伐採量を超える成長量

 続いて、アメリカ広葉樹の持続可能性の取り組みについてAHEC専務理事のマイケル・スノー氏が説明した。
 アメリカ広葉樹の輸出における国別割合は、00年は中国が10%、日本を含む東アジアは13%を占めていたが、17年になると、中国は450万立法㍍と半数以上を占めた。その後、米中間の貿易摩擦の影響で22年には、3分の1の340万立法㍍に縮小した。
 米国の森林の80%は民有林。公有林での伐採は、ほとんどなく90%以上が民有林から供給される。民有林は900万のオーナーがいる。平均森林面積は40㌶前後、FSCの仕組みは適用しにくく、20~25年に1度しか伐採しない。小規模のオーナーが占めているため、違法伐採のリスクも少ないという。
 AHECは、伐採から製材、乾燥、港湾への輸送など、ユーザーに届けるまでのライフサイクルアセスメントを分析した。広葉樹は1㌔㌘当たり1・6㌔㌘の炭素が固定されるので、日本の港湾に木材が到着した段階でもカーボンネガティブになると説明した。
 伐採量よりも生育量の方が多く、1本に対して2・5本の新たな木が成長している。また、自然に倒木した木による二酸化炭素(CO2)の発生量は6000万㌧に及ぶz 13年以前は環境に関する規制はなかったが、EUTR、オーストラリアの木材規制、日本のクリーンウッド法が施行されるなど、認証を必要とするマーケットは4分の3を占めている。
 AHECは13年から「欧州木材規制(EUTR)」に対応するAHEP)を導入している。木材や木材貿易の研究に特化したコンサルティング会社、セネカクリーク・アソシエーツLLCの調査に基づいて19年に改訂を行い、クリーンウッド法のデューデリジェンス(DD)にも対応した。
 しかし、25年に施行されるEUDRの要件を完全に満たせないことから、新たにSHCを作成した。
 ※SHCの詳細については、次号11月8日号とweb家具新聞でお伝えいたします。

AHEC日本代表の辻隆洋氏

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