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ジャパンブランド確立への絶対条件 業界の結集と国のバックアップ ミラノサローネ国際家具見本市 38万6千人が来場 魅せた日本勢の底力

38万人を超える来場者を記録したミラノサローネ
ミラノサローネ・プレジデントのクラウディオ・ルーティー氏

 ミラノデザインウィークが4月8日から14日までの1週間、伊ミラノで開催された。イタリア家具工業会社(FLA Eventi)が主催するミラノサローネ国際家具見本市は9日にロー・フィエラで開幕、隔年開催の照明関連見本市「エウロルーチェ」や若手デザイナーが出展するサローネサテリテと5つの見本市を合わせて43カ国から2418の出展が集まった。来場者は14日まで6日間で181カ国から38万6236人を記録、エウロルーチェが開催された2017年と比較して12%増加した。日本からはマルニ木工、カリモク家具(カリモク・ニュー・スタンダード)、リッツウェルの3社がロー・フィエラに出展、技術とデザインの底力を魅せた。

★圧倒のブランド力
 58回目を迎えた今年は、ミラノサローネ国際家具見本市、サローネ国際インテリア小物見本市、エウロルーチェ、Workplace3・0、S・Projectの5つの見本市と、35歳以上の若手デザイナーたちが出展するサローネサテリテが開催された。また、イタリア・ルネサンス期を代表する芸術家、レオナルド・ダ・ビンチ没後500年を記念した特別展が会場内やミラノ市内で開催された。
 12日にミラノ市内のマリーノ宮(市庁舎)で開催されたクロージング・セレモニーでは、建築家・デザイナーのマリオ・ベリーニ氏のサローネへの多大な貢献に対して「スペシャル・ライフタイム・アワード」が贈られた。
 若手デザイナー550人が出展したサローネサテリテのコンペでは、KULI―KULIがデザインした神戸レザーによるプロジェクトが1位、3位は、0・3㍉のごく細ワイヤーを使った坂下麦氏の「2・5次元の物体」が受賞するなど、日本人が活躍した。
 2014年にCOSMIT代表に就任してサローネのブランド力向上に努め、現在はミラノサローネ国際家具見本市のプレジデントを務めているクラウディオ・ルーティー氏(カルテル社CEO)は「サローネにベストな出展者と海外からの出展者を招くためにたくさんのことをやってきた。サローネでは、十分な技術や素材の進歩、新しい方向性への示唆を得ることができる」と話した。

★戦略的なアピール
 今年は一流ブランドを選抜したコントラクト向けの見本市「S・Project」が22、24の両ホールに初めて設けられ、選抜された87社が出展した。日本から唯一選ばれたマルニ木工は、デザイナーの深澤直人氏がスタンド(ブース)をデザイン、幅6・4㍍のダイニングテーブル「MARUTA」と同幅の「HIROSHIMAソファ」を並べて展示してスケール感を出した。初日には、欧州各国のメディアを集めたランチ・オンを開催して戦略的なアピールを行った。
 カリモク家具はロー・フィエラでカリモク・ニュー・スタンダードの新作を展示、ミラノの街中で繰り広げられるフォーリサローネでも関連出展も含めて4カ所で展開するなど、面の広がりを持たせた。
 10回目の出展となるリッツウェルは、スタンド側面に同社を象徴するアイテムを並べ、「MADE IN JAPAN」を同社のロゴに添えて、デザイン力と技術力をアピールした。展示面積を昨年の1・5倍に広げ、現地のインテリア会社など11社と協力して洗練されたコーディネートでサイドボード「JABARA SIDEBOARD」などを展示した。
 フォーリサローネでは、カンディハウスが喜多俊之氏デザインの「NUPRI」を北海道産ナラ材を使って発表、力強く緊張感を持った曲線のデザインを披露した。日本の自然の美しさをコンセプトにイグサを素材に使ったアダルは、水の流れを表現したベンチ「RAKUSUI(落水)」を中央に据え、来場者の関心を誘った。

※次号5月15日号から2回にわたり、ミラノデザインウィークの詳報を掲載いたします。web家具新聞では、ミラノサローネ、フォーリサローネの展示を写真で紹介しています。

訂正 家具新聞本紙でクラウディオ・ルーティ氏の肩書きがFLA Eventi社社長とあるのは誤りでした。同氏の肩書きは「ミラノサローネ国際家具見本市のプレジデント」です。FLA Eventi社社長はエマヌエレ・オルシーニ氏です。お詫びして訂正いたします。

「S・Project」で日本で唯一選ばれたマルニ木工。欧州のメディアを集めたランチ・オンを開催した
四季をテーマにしたMISSONIの展示

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