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MIFF25周年の新潮流(上) 中国企業 ASEANシフト鮮明に 若手デザイナーが活躍

MIFFチェアマンのダトゥ・タン氏
テレサ・コック第一次産業相

 東南アジア最大規模の家具見本市「マレーシア国際家具見本市(MIFF)」(UBMマレーシア主催)が3月8日から11日までの4日間、マレーシアの首都クアラルンプールで開催された。今年25周年を迎えたMIFFは、14カ国から約600社の出展を迎え、プトラ・ワールド・トレードセンター(PWTC)とマレーシア・インターナショナルトレード&エキシビションセンター(MITEC)の2会場合わせて延べ床面積10万平方㍍のスペースで活発な商談が展開された。会場では、米中貿易摩擦の影響もあって中国企業の新たな市場を求める動きが目立った。昨年オープンしたMITEC会場には、若手デザイナーが手掛けた作品も数多く展示され、マレーシアのデザインの未来を予感させた。



 「マレーシアの家具メーカーが、海外のバイヤーを探すための輸出基盤として、MIFFの物語は1995年に始まった」。8日に行われたオープニングセレモニーでMIFF創設者であるチェアマン、ダトゥ・ドクター・タン・チン・ハット氏は、25年を振り返った。
 当初ほんの一握りの出展社からスタートしたMIFFは、世界の家具業界の見本市の中でも展示規模でトップ10に入る東南アジア最大級の見本市として成長した。「今年の来場者の事前登録バイヤー数も昨年より10%アップした」とダトゥ・タン氏は胸を張った。
 来賓として招かれたテレサ・コック第一次産業相は「マレーシアの家具製品は、米国、シンガポール、日本、豪州、英国など160カ国以上に輸出されている。昨年の家具輸出額98・3億リンギット(2700億円)のうち、木製家具は77・9億リンギット(2100億円)を占めている」と同国の家具産業について説明した。同産業相は同国のサステナビリティ(持続可能性)の取り組みについても触れ、「マレーシア木材認証協議会(MTCS)の認証企業は359社で昨年は37万8000立方㍍を輸出した。マレーシアの家具メーカーは、より良いデザイン、機能性、環境にやさしく、より高い付加価値のある製品を求め続けなければならない」と述べた。
 アジア地域を統括するUBMアジアのグループマネージングディレクター、ムシア・ガンディ氏は「ASEAN(東南アジア諸国連合)全体では昨年、34億㌦(3800億円)相当の家具を輸入しており、中国やインドよりも多い。ASEAN内の家具貿易の拡大を推進するべきである」ことを強調した。

「対米貿易の拠点に」中国企業の思惑

 昨年の中国のGDP(国内総生産)成長率は、6・6%の28年ぶりの低水準となり減速が際立つ。米中貿易摩擦の影響から、中国企業の新たな市場を求めた海外進出の動きも加速している。
 MIFF会場内では2017年から、UBMマレーシアと中国国際貿易促進委員会広東省委員会(CCPIT)の主催で「広東家具アクセサリー・ホームファニシングエキスポ」が開催されている。広東省からの出展は126社に及んだ。
 同展のマネージングを行っているフォーシャンC&Mエキシビションの杜彦兵氏は「広東からの出展はMIFF全体で2017年の180社から200社に増えている。2、3年前から中国企業の海外に市場を求める動きが加速している。特に東南アジア市場に注目している」と話した。
 広東のディグラント・ファニチャー・インダストリアルは1月にマレーシアの現地工場を稼働させ、マットレスの生産を開始した。同社のマーケティングディレクターは「米中貿易摩擦の影響の深刻化に備えて、米国向けの生産・輸出拠点としてマレーシアを選び、初めて出展した」という。提携先である台湾のグリーンリバーグループ、RTAコーポレーションのセールスマネジャーは「中国は米国と協力する必要性は分かっている。悪い方向にはいかないと思うが、私はトランプ大統領ではないから分からない」と苦笑した。

フランスベッド、向陽技研が出展

 日本からはフランスベッドが3年連続で単独出展、金物メーカーの向陽技研が初出展した。
 フランスベッドは、これまでの出展経験を生かしてブースをコンパクトにまとめ、電動リクライニングベッドの「ルーパームーブ」、接触冷感枕「クールデオドハグピロー」などの小物を展示した。接触冷感枕は、会場に訪れた女性の目を引いていた。
 今回の出展を通して、米国の流通大手との商談の機会を得るなど手応えをつかんでいた。
 向陽技研は入念な市場分析を踏まえて、ソファ向け金具「サウンドゼロ金具シリーズ」を中心に出展した。MIFF出展メーカーの製品の多くは中国製の金物が使われている。同社は静音タイプの高性能の金物などを出展した。「今回は反応を探るために出展したが、想像以上に良かった」と現地メーカーを中心に引き合いの手応えをつかんでいた。

UBMアジアのガンディ氏
マレーシア木材産業公社(MTIB)による若手デザイナーの育成プロジェクト「PDP(Professional Design Program)」のデザイナーたちの作品が一堂に並んだ
MIFFのデザインコンペで入賞したデザイナーの新作を展示したMAD(Millennials@Designコーナー)。ビクトリア・パメラさん(右)の子ども向け家具「Coy」は、2段ベッド、ソファ、シングルベッドの3つの使い方ができる

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