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飛騨の家具フェスティバル 出展社紹介 その1 新たなユーザー開拓 的を絞った展示

多摩産スギ材を使った応接セットなど地域に密着したコントラクトの事業提案を行った

 今年の飛騨の家具フェスティバルは、例年に比べて新作の数が絞られた。各社のショールームでは、メーン会場のコントラクト展示を意識した展示や、人気商品に新ファブリック、シェーズロングやベンチなどのアイテムを加えるなどシリーズの充実を図り、新たなユーザーの開拓に焦点を当てた動きが目立った。

飛騨産業 地域材提案を強化 穂高の張地に鹿児島氏

 ショールームに昨年から設けられた「コントラクト・コレクション」の展示コーナーに、東京の多摩産スギ材を使った応接セット、伊勢志摩サミットの円卓にも使った三重の尾鷲ヒノキ(FSC認証材)によるチェアとベンチ、岐阜の東濃ヒノキを使用した応接セットを展示して、地域材を活用した同社ならではの事業提案の強化を図った。
 新作はマンションのコンパクトな空間での家族のコミュニケーションを考えた「YURURI」を発表した。ダイニング、カウチソファのリビング、オープンキャビネットをそろえ、テーブルは壁に寄せられるように半円形状になっている。ソファとダイニングチェアは、ほぼ同じ高さにそろえている。デザイン室の小平美緒氏は「リビングとダイニングの垣根を越えてコミュニケーションができるように目線を考えてデザインした」という。
 「森のことば」にシェーズロングなどを加えるとともに(8月22日号既報)、1969年に発売した「穂高」の50周年を記念して、陶芸家の鹿児島睦氏のオリジナルファブリック「ナベダイラ」を発表した。
 鹿児島氏が「ウィリアムモリスのような、長く愛され、手仕事感のある良いものを目指した」という「ナベダイラ」はその名の通り、穂高岳(岐阜県高山市)の鍋平高原に咲く花をモチーフに、緻密なゴブラン織りで仕上げた。
 国内の椅子張り産業が縮小する中で「日本の良いものを残そう」という思いが込められている。新たなユーザー層の開拓を視野に入れた鹿児島氏のファブリックととともに、穂高の木部のカラーについても、ナチュラル色を追加した。

「穂高」に鹿児島氏のファブリックを採用した
マンションのコンパクトな空間でのコミュニケーションを意識した「YURURI」

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