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★マレーシアのアブラヤシ産業を循環型に 「PALM LOOP」パナソニックがMIFFで講演

現地メディアの取材に応えるパナソニックのスタッフ

 熱帯雨林を守り、持続可能な地球環境を共に―。パナソニックハウジングソリューションズは7月7日、MITEC会場内で、アブラヤシの廃材を世界で初めて活用した再生ボード技術「PALM LOOP(パームループ)」プロジェクトについてプレゼンテーションした。 
 パーム油の原料となるアブラヤシは収穫期を終えると、その廃材の多くが農園内に放置され、腐敗・分解が進む。その際、メタンガスを含む温室効果ガスを排出することが問題視されている。また、世界的に木材資源の減少が深刻化する中、未利用資源であるアブラヤシ廃材由来の再生ボードは従来の木質ボードの代替品として高い利用価値を有している。
 パナソニックは、アブラヤシの廃材を活用した再生ボード化技術を開発し、事業検証を開始している。アブラヤシは通常の木材と違い、大量の水分を含み、木と草の間のような材料で不純物が多い。さらに、場所によって材料品質にばらつきがある。事業化にあたっては、新しい材料を活用するボード工場を設立するには非常に大きな投資がかかることが課題だった。また、アブラヤシ産業はマレーシアとインドネシアで約8割を占めており、マレーシアがこのソリューションの起点となるためには、世界中へ材料を供給する必要があった。 こうした課題を、一気に木質ボード化するのではなく、扱いやすい中間材を開発し、世界中に点在する既存の木質ボード製造工場でボード化するという発想でクリアした。
 マレーシアのアブラヤシ産業は国を支える重要な産業で、プレゼンテーションでは「アブラヤシ産業が停滞することはあってはならない。そのためには農園の再利用を中心とした循環運用を実現しなければならない」と訴えた。
 プレゼンテーションを聞いた来場者からは「プロジェクトの投資額と利益はどれくらいか」「パームボードの強度と耐久性は、既存のものと比較するとどうか」「マレーシアのアブラヤシの幹の製品に興味があるか」といった質問が寄せられ、プロジェクトへの関心の高さを感じさせた。

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