連載2020.04.01
「障害のある子だけなく、家族みんなが使える食器を作りたい」―。でく工房(東京都昭島市)の「すくい易い食器」は、有田焼の窯元と協力して作られた。
皿と鉢のフチは内側に傾斜し、食べ物をスプーンで端に寄せて自然にすくえる。ユニークな形状のカップの取っ手は、倒れにくいようにテーブルに接して本体を支え、指が曲がらない人は、手を差し込んで持つことができる。今から40年ほど前、ユニバーサルデザインがまだ普及していない時代に生まれた。
でく工房の先進性は、1974年の設立に象徴される。そのきっかけは、重いハンデを負って寝たきりになった子どもの起立保持具の製作だった。寝たきりを起こすという発想がなかった時代、理学療法士や作業療法士といったセラピストと一体となった新しい手法で、重度の子どもが座って生活できる椅子を開発し、個別注文に応えて独自のシーティング技術を磨いてきた。
その技術を生かして車いすの座り心地を改善したのが「モデラート」だ。高齢者にとって、座ったままで長時間にわたって同じ姿勢でいるのは辛い。この車いすは、レバー一つで体に負担を与えずに姿勢変換を行え、背もたれのベルトを調整して脊柱カーブを保持できる機能を搭載している。
同工房のこれまでのシーティング技術が凝縮されているのが「ペルチェア」。「どこをどのように支えたら座ることができるかを追求してきましたが、このノウハウをもっと多くの一般の方にも使っていただきたいと思っていました」と竹野節子社長。関家具の協力を得て初めて一般向けに開発した製品だ。長時間座っても疲れない姿勢を保つために、体のサイズに合わせる機能と骨盤を支えるユニークな仕組みを搭載している。
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